少年ジャンプの「あかね噺」はいろいろ気になる漫画です。
今週号の少年ジャンプ、数年ぶりに買いました。「バクマン。」連載時以来だから10年ぶりかな。
なぜ買ったかと言いますと、落語を題材にした漫画「あかね噺」が始まった、と聞いたものですから。
少年ジャンプといえば、全盛期に比べれば部数は減ってますが、それでも日本最大の少年マンガ雑誌。
そんなメジャーな舞台で、落語が漫画のテーマになる。
落語、きてますねえ。
これで落語ファンの裾野が広がればいいなあ、としみじみ思います。
というのが大前提ですが、ちょっと気になるところもあるんですよ、この漫画。
まず、真打昇進のための試験がある、という点。しかも、師匠たち落語家複数と観客が決める、らしいのです。
これ、立川流のシステムをモデルにしてると思いますが、複数の師匠連がジャッジするわけではない、ですよね。決めるのは師匠一人のはず。
他の協会なりグループは、試験なんてものはないはず。
つまり、かなり特殊な状況を描いているわけで、この漫画が一般的な落語の世界だと、少年読者には思われたくないなあ。
気になる二つ目。
かなり年配の先輩落語家が後輩たちを破門にするシーンがあるんですが、破門にするか否かは直接の師匠が決めること。例外的に大師匠が破門にすることはあるかも、ですが、師匠の兄弟子であっても、他人の弟子を破門にできるはずがない。
ここも、これが一般的な落語の世界と、少年読者に思われたら嫌だなあ。
気になる3番目。これはまあ、細かなことかもしれませんが。
この漫画に出てくる落語家が「芝浜」を話すんですが、その際に、海岸で財布を拾うシーンをスパッとカットする。
それに対して、「芝の浜の情景を語りで見せる。それが芝浜の醍醐味」という説明(落語家らしき登場人物のモノローグ)が入るんですが、おいおいおい、それは違うでしょ。
古今亭志ん朝師匠も、財布を拾うシーンを語らずにやってます。
どこを見せるかで演出は、とうぜんかわる。
芝の浜の情景描写が重視されるのは、談志芝浜の影響じゃないかと思うんですが、ともあれ、海岸シーンのカットは、そこまで珍しい演出ではないはず。
というわけで、この漫画で描かれてる世界がリアルな落語家の世界と思われるといろいろ嫌だなあ、と思ったのでした。
繰り返しになりますが、少年ジャンプという弩級のメジャー雑誌で、落語が扱われること自体はとても嬉しいんです。そこのところは強調しときます。
さてさて。来週号、買うかな。買わないかな。
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