落語芸術協会の真打披露興行に行ってきた。
先月、定年退職しまして、今月から時間の余裕がそこそこできました。フリー編集者として新しい会社に通ってるので、完全に暇というわけてはないのですが。それに収入も減りますから、落語会にバンバン行けるわけではありません。
そんな中、今日は浅草演芸ホール昼の部へ。
落語芸術協会の真打披露興行なのです。
今回の新真打は3人。芸協の披露興行は新真打が全員出るので、お得感高めです。というわけでどこかのタイミングで行きたいと思っていました。結局、今日になりました。
今日の主任は柳亭明楽師匠。「禁酒番屋」でした。独特のふわっとした感じが、良いですね。
小痴楽師匠の弟弟子で、小痴楽師匠がいろいろいじっていたのが面白かったなあ。ご本人は「小痴楽師匠の後に出られるのが嬉しい」とのことでした。
今日は修学旅行の小学生たちが客席にいて、演者さんたちが微妙にやりづらそうな、そんな印象を受けました。もっとも、仲入りの時に帰っていきましたけどね。彼らの一人でも、「また寄席に行こう」と思ってくれたら嬉しいなあ。
紀伊國屋寄席で伯山先生の怪談とはる乃さんの浪曲にびっくり
今夜は紀伊國屋寄席でした。
神田伯山先生がトリの会。満席でした。
前回の紀伊國屋寄席に行ってまして、
その時に前売り券を買えたのです。
ネットだったら入手困難だったかも。
というわけで、伯山先生は「お紺殺し」。
今年初の怪談とのこと。
やはり迫力がありますねえ。
軽妙なマクラから一転、陰惨な話をきっちり聴かせます。
ただ、伯山先生の高座が素晴らしいのは予想の範囲内。国本はる乃さんの浪曲、噂は聞いてましたが初めて聴けました。よかったわあ。声の伸びがびっくりするくらい良いのです。迫力があります。これは追いかけたくなります。ううむ。浪曲枠は玉川奈々福さん太福さんでいっぱいなんですけど、もう一人増やさざるを得ない!
道具が必要だから簡単に聞ける芸ではないと思いますが、活弁の世界、楽しかった。客席と独特の一体感になるのが面白いです。
という、収穫の多い会でした。お腹いっぱい。
#神田伯山
#国本はる乃
#坂本頼光
#紀伊國屋寄席
桂二葉チャレンジその参は特に素晴らしかったなあ。
上方落語の桂二葉さんの落語会「桂二葉チャレンジ」に行ってきました。今夜のゲストは柳家喬太郎師匠。春風亭一之輔師匠、春風亭昇太師匠がこれまでのゲストです。毎回、なんと豪華なんでしょ。
師匠の演目は「銭湯の節」という新作。お客さんは二葉さんのファンが多めだと思うのですが、そんな人たちを相手に、大いに笑わせてしみじみさせて。やっぱり凄いや、喬太郎師匠。
「芝浜」をくすぐりに使ってニヤリとさせておいて、後半で若い女性が「芝浜」を演じるというシーンで、声出して笑いました。
これを受けて、二葉さんは「子は鎹」。これもまた素晴らしかった。喬太郎師匠の落語で覚醒したのかしらん。
実はこの噺、ちょっと苦手なのです。金持ちの子供に叩かれた息子に「我慢しておくれ」と言う母親。そういう流れだから仕方ないんですが、ううむ、と毎回心ひそかに思ってしまう。
ところが、二葉さんの「子は鎹」にはこのシーンがないんですね。母親が相手の母親に反論するという思いがけない展開。でも、そこがいい。全体にカラッとした明るさがあり、これだったら苦手意識なく聴けるわあ、と思ったのでした。
というわけで、ベテラン喬太郎の凄みと二葉さんの才能を感じた夜でした。次回のゲストは笑福亭鶴瓶師匠とのこと。また来なくちゃ。
#桂二葉
清澄白河で柳家花緑師匠の「猫の災難」を堪能しました。
今夜は会社帰りに清澄白河へ。深川落語倶楽部です。この会、毎回出演者が豪華なんです。今回も柳家花緑師匠や柳家喬太郎師匠、古今亭文菊師匠が出演してます。この会をプロデュースされている林家時蔵師匠のお人柄なんだろうなあ、と勝手に思ってます。
あ、そうそう、この会は、必ず現金を持って参加してます。仲入りの時に次回のチケットが買えるので。次回もいいメンバーですよ。もちろん購入しました。
そんな中、今夜、特に印象に残ったのは、古今亭駒治師匠とトリの柳家花緑師匠。
駒治師匠が鉄道に詳しくて、そういった新作を得意としている、という噂は耳にしたことがありますが、お聴きするのはたぶん初めて。東京に初めてやってきた娘とその父親の驚きを噺にしてます。面白かったなあ。学校寄席でもらった子供たちの感想というのをマクラで朗読してましたが、あれほほんとに本物なのかしら。ちょっと面白すぎるんですが。
柳家花緑師匠は「猫の災難」。これは祖父であり師匠の師匠である先代小さんの得意ネタですよね。酒が飲みたくてたまらない男のしょうがなさと可愛いらしさが出てました。私はお酒飲みませんが、思わず、飲みたくなります。
「酒を飲めない奴は人生を半分ムダにしている」というフレーズがマクラに出てきて大いに笑ったんですが、このフレーズが噺の中でも出てきます。そして、それによって主人公の性格が伝わってくる。見事だなあ。
今夜のそれまでの出演者のネタをくすぐりに使うところも、楽しい工夫でした。というわけで、特に印象に残る高座でした。
#柳家花緑
#古今亭駒治
#深川落語倶楽部
春風亭昇輔さん「みちくさサーカス」は面白い!
久しぶりの投稿になります。落語会、それなりに行ってたんですが、仕事の方がちょっとバタバタしてまして。そしてそうなると更新が億劫になるという悪循環。
そんな中、「これは書かねば」という落語会に遭遇しました。春風亭昇輔さんの「みちくさサーカス」。毎月、新宿で開催している昇輔さんの勉強会です。私は3回目でしたが、今夜は特に素晴らしかった!
落語3席と、落語ノートを読みながらのトーク。昇輔さんは高座ごとに感想と反省をノートに書いてまして、それを読みながら、前月を振り返ります。今回は猛烈に滑った学校落語の話や落語芸術協会と落語協会の違いなど興味深いテーマが続きました。
しかし。
今回一番感銘を受けたのは、「ワンダーマジック」という新作落語です。
手品師のマジックを見せる、というネタなんですが、一人で何役も演じる落語だからこそ可能な噺であり、手ぬぐいをこう使うのか! という発見の噺でもあります。
ツイッターで検索したら、瀧川鯉八師匠が「新作落語の発明だと思う」と絶賛してました。鯉八師匠といえば、新作落語の雄。その人からこれだけの評価を得ていることで、凄さがわかっていただけるのではないか、と。
実は落語ノートのパートで、この噺を高齢者向け施設の配信でやったけどうまくいかなかった、という話がありまして、いわばその伏線回収ですね。まあ、この噺、年配の人たちにはわかりにくいかも、と思ったのでした。
そして、さらに驚いたのは、この噺の後が「宿屋の仇討ち」。古典落語の大ネタです。ワンダーマジックとのギャップが凄い。そこに感銘を受けました。
古典を覚えてきましたレベルでなく、昇輔さんテイストに仕上げているところも楽しい。細かなギャグはもちろんですが、「伊八!」と呼ぶところ、長く伸ばさないんですね。確かにその方が、侍ぽいわ。
というわけで、大満足の落語会でした。またこなくちゃ。来月からは1500円に値上げするそうで(今回まで1000円)、それでも安いわ。
#春風亭昇輔
笑福亭羽光師匠の「私小説落語 落語編」はいい噺でした。
今夜は新宿の末廣亭でした。
笑福亭羽光師匠が主任と聞きまして。
落語好きのおじさん2人で落語系ポッドキャスト「おあとがよろしいようで」をやってまして、そこにゲストとして出演してくださったことがあるのです。そんなわけで行ける日を狙ってたんですが、結局千秋楽のこの日に。
羽光師匠は新作も古典もやるんですが、今回の末廣亭では前半5日が古典、後半5日が新作。今日は「私小説落語 落語編」でした。
私小説落語は羽光師匠ご本人の実体験が元になっていて、だから「私小説」なのですが、私がこれまで聴いたのは、師匠の高校生時代、下ネタをあれこれ妄想する噺が多かったように思います。今回は、中村好夫(師匠の本名)がいかにして笑福亭羽光になったか、という噺。ちょっとメタ構造になっていて、それも含めていい噺でした。落語家になったご本人はもちろん、聴いていた我々をも肯定してくれるような。聴けてよかったあ。
末廣亭、本来は3000円ですが、18時を過ぎると割引になるんですね。2500円。さらに仲入り後は1500円とのことで、映画より安くなるのかあ。私は18時に入りました。ちょうど玉川太福さんの浪曲でした。
そうそう、羽光師匠の噺の直前だったかなあ、私の隣の席に座った女性がいて、今から聴くのかしら、と少しびっくりしたんですが、終演後、その人から名前を呼ばれてさらにびっくりしました。よく見たら、会社の元後輩。数秒、頭が混乱してました。なぜここに会社やめた後輩が? と思ったんですが、よくよく考えたら、羽光師匠の奥さんの友達なんですね。師匠の奥さんも、元会社の後輩なのです。そのつながりで、奥さんにも、師匠にも、ポッドキャストに出てもらったわけで。と、今は整理して書いてますが、あの一瞬は驚愕でした。
下の写真は、終演後のカーテンコール。楽しい寄席だったのが伝わるのではないか、と。お客さんは3分の2くらいの入りでした。もっと入ってほしかったなあ。